ボールを蹴る、という衝動
蹴鞠から中世の群衆サッカーまで。世界各地で“足で球を扱う”遊びが生まれた。
サッカーの起源は一つではない。紀元前の中国では、革袋に羽毛を詰めた球を蹴ってネットのゴールに入れる「蹴鞠(しゅうきく/cuju)」が軍の訓練として行われ、FIFAはこれを“最古のサッカーの原型”と位置づけている。
日本にも7世紀頃、中国から「蹴鞠(けまり)」が伝わった。こちらは勝敗を競わず、鹿革の鞠を落とさずに蹴り続ける雅な遊戯として貴族社会に根づいた。古代ギリシャ・ローマの球技、中米の球技など、足や体でボールを扱う文化は世界中に存在した。
中世イングランドでは、村と村が大人数でボールを奪い合う荒々しい「モブ・フットボール」が祭礼として行われた。負傷者が絶えず、歴代の王がたびたび禁止令を出したほどだった。ルールはバラバラで、まだ“競技”と呼べるものではなかった。